ひとりで登山することの危険性

単独登山は一般的な考え方からすると危険だと言われています。しかし登山における危険とは何なのでしょうか? たしかに、登山パーティーを組んで登る場合、様々な事が有利に働く事は否定できません。例えば登山道で滑落して骨折して動けなくなったような場合、複数で登っていれば、その場所が携帯電話の通話可能エリアでなくても他の者が移動する事で救援の連絡を取る事ができます。令和元年度の警察庁がまとめた全遭難件数における死亡・行方不明件数は、単独遭難者の16.1%に対してして複数登山(2人以上)6.5%と2倍以上の数値となっています。

山は危険な場所である

逆に複数登山であっても、複数登山の全遭難件数における死亡・行方不明件数は6.5%もあるという事は、複数で登山をしても安全だとは限らないという事です。実際、死亡・行方不明でなくても滑落や転倒、道を間違える等の事案は複数、単独にかかわらず起こりうる事柄です。ですから一歩山道に立ち入れば、そこは町で生活する様な安全は確保できないと言うことです。

危険な趣味は登山以外にもある

趣味の領域で危険なものはたくさんあります。例えばモータースポーツやスカイスポーツ等、趣味として危険だと思われるものは数多くあるのではないでしょうか。私はモータースポーツもスカイスポーツもやりませんが、危険を克服して楽しむことが出来れば、それは特別なものに変わってしまう。たぶん「危険を克服」すること自体がその趣味の醍醐味と言っても過言ではないような気がします。

単独登山と複数登山は全く別物

登山をしない人たちにとっては、単独登山も複数登山も同じものなのかもしれません。同じ山に登るのならば、複数で登っても単独で登っても同じ登山に変わりがないと考えるのは間違いではないような気がします。ですからより危険の少ない複数登山を推奨するのは自然な考え方だとも言えます。でも、単独登山をする人にとっては単独登山は複数登山とは全く別物であると感じているのではないでしょうか。モータースポーツやスカイスポーツがなくならないのと同じく、それでしか味わえない醍醐味、楽しさがあるから存在し続けているのだと思います。

より危険な趣味にチャレンジするのには一定のライセンスが必要

モータースポーツの場合、一定のライセンスがないとレースには参加できません。危険なスポーツにはそれを行うこと自体、ライセンスが必要な場合が多々あります。でも登山の場合それがありません。登山のライセンスは登山者の心の中にあります。なぜかその様に思えてなりません。私の中での登山のライセンスは自然を慈しむことと他人を思いやる気持ちがベースにあって、その上に登山の技術や諸々のことがあるような気がします。

複数登山、単独登山にかかわらず登山を楽しむには一定の資質が必要?

「資質のないものは登山をするな」というものではありません。安全な登山を行うには、ある程度の体力と登山技術、装備や健全な精神が必要だと私は思います。 それは、対象となる山や登り方によっても違ってくるものだと思います。ですから複数登山、単独登山にかかわらず、その資質が安全な登山を行うのに重要なファクターとなってくるのは言うまでもないことだと思います。

山頂を目指すのだけが登山の楽しみではありません

山が一番美しいのは、中腹から山頂を見上げた時が一番美しいと思うのはたぶん私だけではないと思いますが、みんなさんはどう思われますか。中腹から見た山塊は、その大さや高低差を直接確認できるものです。また見上げた空と相まって山の美しさは格別なものになる、その様に思います。比良山系ではあまりお目にかかることはありませんが北アルプスや白山等で時より見かけることのある「ネイビーブルーの空に真っ白な山塊」立ち止まらずにはいられない景色が中腹には存在します。

山の楽しみ方は人それぞれ

 私の場合、山を感じながら一歩一歩登るのが好きなので山頂に固執することはあまりありません。人は感じ方を変えれば見えるものが変わってきます。登山道に一歩踏み入れば、そこは別世界、ある意味危険な世界と言えなくはありません。しかし登山道に一歩踏み入れば、「落葉樹の森の息」「針葉樹の樹皮のにおい」や「鳥のさえずり」時には「動物の足跡」など五感を凝らせば様々なものが見えてきます。これは複数登山を行っている時にはあまり感じる事のないものです。それと私の場合、山に入ると今は亡き父と陽気な父の登山仲間が「おかえりなさい」と言ってくれているような気がします。山の楽しみ方は人それぞれでいいと思います。単独登山もその中に含まれると私は思います。

単独登山の掟

私はほとんど単独で山に登りますが、私なりに一定のルールを基に山に登っています。箇条書きにして書き出すと

  • 家族が解るように必ず行き先のメモを置いていく。
  • 装備、特に地図、コンパス、ヘッドランプは絶対忘れてはいけない。
  • 藪漕ぎはしない。藪漕ぎをするのは道がなくなった時や道を間違えた時で現在地やこの先のルートが解っている時以外行わない。
  • 途中で体調や気分がすぐれない時は、登山を中止にする。装備を忘れたときも同じ。
  • ゆっくり歩く。これが一番難しいかもしれません。山慣れしている人には解っていただけると思いますが、時間やプライドが邪魔してなかなかゆっくりとは歩けないものです。
  • 登山ストックは必ず持っていく。
  • 登山計画は時間的な余裕を持たせる
  • 時間的な余裕がなくなってもあせらない。暗くなっても死なないけれど急いで下山すると事故につながります。

登山ストックについては、使う使わないは別として、持って行くべきものだと私は思います。